雨を心配するように空を見上げた 今は六月たったそれだけ 五月雨が通りすぎて 誰かの匂いが消えて 梅雨の匂いになったそれだけ 思い出せないと知っている匂いを 何度も取り出して 開いて 触って もやしのヒゲを抜いている たったそれだけ しばらくのあいだ手を休め、空を見上げる 月が雨に濡れていた
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