私はなにも知ってはいなかった なにかを知りたくうっとりしていた そしてときどき思う 一体なにを 誰を待っているのだろうかと 林を透いた青空 誰も見ていないのに 咲いている花と花 誰も聞いていないのに 啼いている鳥と鳥 誰も知らないのに 書いている詩と詩 日常は流れていく それは止まることなどない 摑まえたい 書くことがなにもなくなった時 私にはもう なにもすることがなかった
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